第12章 消えた
『──黒子くん連れてきたよ』
【赤司】
「・・・やぁ、黒子くん。
今日の調子はどうだい?」
【黒子】
「万全、と言いたいところですが・・・
正直、緊張しています」
【赤司】
「誰でも最初はそうさ。
では、始めようか。
・・・はち、虹村さんには言っておいてあるか?」
『うん、言っといたよ。
・・・せんぱーい、大丈夫ですかー?』
【虹村】
「ん? ・・・あぁ!?
おまえなぁ、挨拶しろ」
『あ、すみません。こんにちわです。
それで、選手の方は大丈夫ですか?』
【虹村】
「まぁ、選んどいたけどよ・・・
試合形式のテストってどういう意味だよ?」
『まぁまぁ、彼の実力は試合形式じゃないと分からないってことですよ!
じゃあ、黒子くんもこれ着てください』
【虹村】
「・・・・・・・・・え?マジで?
・・・こいつ?」
虹村先輩、それ偏見
『マジですよ! 邪魔なんで早くコーチに話つけてきてください』
【虹村】
「・・・先輩のこと敬えよな」
深く溜め息をついて、コーチの方へ歩いていくにじむー。
【黒子】
「・・・はちさん。」
『んー?』
【黒子】
「・・・キンチョー、シマスネ」
『・・・片言になってるよ。
・・・大丈夫、黒子くんは、自分がどうすればいいかだけ考えてればいい。
今の君に必要なのは、その感情だけ。他の・・・そうだな、「勝ちたい」っていう感情とかも最低限まで下げて』
【黒子】
「・・・なかなか難しいですね」
『スポーツなんてどれもそんなもんだっての。
・・・じゃあ、行ってこい』
黒子くんの前に、拳を突き出す。
コツンと、合わさった。