第11章 消えていきそうだ
『ミスディレクション』
視線誘導の技。
黒子くんは、きっと明日それを見せに来てくれるだろう。
でも、私は『この眼』を使ってみる。
彼のメーターから目を離さずにいよう。
それが今いちばん手っ取り早い方法かな
【赤司】
「・・・はち」
『ん、なに・・・ってぅわぁあ!?』
いきなり、赤司くんが私の指を舐めた。
なにしてんだねきみは
『ちょ、なにしてんの!?』
【赤司】
「溶けてしまっていたからね。
というか、この時期にアイスっていうのもどうかと思うが」
『カリカリくんが食べたくなったんだよ。いいのいいの!』
カリカリくんって溶けやすいのが欠点だよね
ゴミ箱に袋を捨て、また歩き出す。
赤司くんはそれきり黙ってしまって、ちょちょこチラ見してくるという彼らしくない行動をしていた。
『・・・どしたの?』
【赤司】
「・・・なにがだい?」
『いやいや・・・誤魔化してますよねそれ』
赤司くんって変なところで意地張るよなぁ・・・って思う
まぁ、なんか人間味があっていいけどね