第11章 消えていきそうだ
【赤司】
「──時々、はちの思っていることが分かる気がするよ」
『え? ・・・そんなに顔に出やすい?』
唐突な告白に、呆気にとられる。
途中で寄ったコンビニのアイスの袋を破る音だけが響いてくる。
【赤司】
「いや、そういうことじゃないんだ。
・・・さっきは、なにかを守り抜こうとしている顔をしていた」
『なにかを、守り抜こうしてる顔?
どーゆー顔なの、それー』
茶化してみるけど、赤司くんはピクリとも笑わない。
そんなに重要な話なのかと思った矢先──
【赤司】
「なにかに思い詰めているなら、頼ってほしいんだ」
・・・そういうことか。
『・・・赤司くんには、これ以上なく頼ってるよ』
【赤司】
「・・・それなら、いいんだ。」
その時の赤司くんは、微笑みの中に影があるような感じがした。
アイスが指につく。
よくあるシーンでも、状況が違うとなんらロマンチックでもないもんなんだな
『あー・・・』
そういえば、昔漫画でみた帝光編のNGシーンで、ムッくんがアイス落として絶望してたな
あのムッくんはかわいかった。
【赤司】
「早く食べないからだよ」
『いいのいいのー。美味しければどうにでもなるよ』
【赤司】
「・・・そうか」
落胆? 落胆してるのか赤司くん。
・・・らくた(ラクダ)が落胆(らくたん)!
・・・・・・来てないかコレ
【赤司】
「・・・今、くだらないこと考えてただろう?」
『え!? やだ赤司くんエスパー!?』
【赤司】
「・・・はちは顔に出やすいんだよ」
てか、くだらないことって!
ちょっとひどいな
『そんなことより、明日のテストどうやるの?
私もなんか手伝うことある?』
【赤司】
「そうだな・・・
できれば彼から目を離さないでいてほしい」
『ん。善処します』
黒子くんから目を離さないって難しいな
【赤司】
「・・・彼なら、いつもの割り増しで存在感を消してくるだろう」
『うん、私もそう思う・・・
あとは・・・それより上のことも、かな』
【赤司】
「上のこと?」