第11章 消えていきそうだ
その瞬間、ふわっとカーテンが舞う。
窓からこぼれる光が、彼の影を伸ばす。
こっちからは逆光になっている黒子くんは、文字通り、『影』だった。
『・・・影、って、どういうこと?』
【黒子】
「日頃、僕自身がしていること・・・というか、なってしまっていることって言うべきなんでしょうか」
この時点で、彼が言いたいことは何となくわかっていた。
でも、あえて聞かない。
黒子くんが今思っていること、すべてを聞きたかったから、かもしれない
【黒子】
「・・・赤司くんにも、言われました。
『存在感がない』と。
そのときは何を言われているのか分かりませんでしたけど・・・
今ならわかるんです。
僕の『存在感のなさ』を生かすプレー」
辿り着いた。
どこからか聞こえてきたドリブルの音。
それが今は、何かの始まりのような音に聞こえてきてならなかった。