第10章 どうしますか?
首筋をなぞるように辿る唇は、男の人で言う「喉仏」あたりでまた止まる。
こんな外で、なにやってんだろ!?
『ぅ、あ・・・、ちょ、そろ、そろ・・・』
自分のものじゃないような声。
これを聞かれているのかと思うと、恥ずかしさで湯が沸けそうだ。
『せ、せんぱい!』
隙ができた間に、手を持ってきて阻止する。
顔は見れなくて、違う方向見るしかないけど。
『・・・どうしたんですか?』
冷静そうに訊くけど、内心パニクってて、顔に熱が集中してるのがわかる。
【虹村】
「・・・わりっ」
ぱっと腕がはなされ、体温が逃げてく。
『ほんとに、大丈夫ですか?』
【虹村】
「あー、気にすんな。大したことじゃねぇよ」
大したことじゃないって・・・
あんなに情緒不安定なのに!
大丈夫なわけがないでしょう!
『はやく帰って寝ましょ!今日は!
・・・あ、それとも一緒に寝ます~?』
【虹村】
「なっ!? んなことしねぇよバカ!」
うん。わかってる。
冗談ですよ冗談。
『じゃあ、早く歩いてください!
行きますよ!』
【虹村】
「俺がいねぇとお前家ん中入れねぇけど?」
どこか勝ち誇ったように笑うにじむー。
『あ、妹さんに合鍵もらってるんで。大丈夫です』
【虹村】
「んなっ!?」
ふふ
私の勝ちだね、せーんぱーい!
『こんなことどうでもいいですから!
早くしてください!』
【虹村】
「こ、こんなこと・・・!?」
がーんと大袈裟にショックを受けておられる。
ほんと早くしてください!
お腹すいたんだから!
『・・・じゃ、今日は私が夕飯作りますよ!』
【虹村】
「お、ラッキー」
その帰り道も、私たちは会話を絶やすことはなかった。
【虹村】
「俺、荷物学校に置いたまんまだ!!」