第7章 赤の心
それが、なんか悲しかった。
これから起こる、彼らにとって不幸以外の何ものでも無い事件。
未来を知っていることが、こんなにも苦しいとは。
『・・・赤司くん、よく聞いて』
【赤司】
「ん?」
赤司くんの方を向いて、彼のお母さんの写真を握って。
『・・・これから、赤司くんは・・・その、ものすごい辛いことを経験することになると思う。
だけど、これだけは覚えておいてほしい』
すっと黙り込んでいる。
そんな彼の瞼に掌を近づけて、瞑るように促す。
目を瞑ったその綺麗な顔に、語りかける。
『・・・それでも、私はあなたを守ってみせる。
あなたの支えだったお母さんの代わり、みたいに、守ってみせる。
支えてみせるから』
【赤司】
「・・・なんだか、女子に守られるとか、格好がつかないね」
『格好つかなくていいの!
それ以上かっこよくなってどうすんの!?』
【赤司】
「・・・そんなに怒らなくてもいいだろう」
むっとした声が聞こえてくる。
大丈夫、守ってみせる。
その瞬間が来るまで、待つだけだ。