第6章 色彩豊か
─────赤司side─────┐
「・・・・・・ん」
目が覚めると、ちゃんと布団の中で、部屋の明かりも消えていた。
月明かりだけが部屋を満たす。
すべて彼女がやってくれたのかと思い、愛おしさに彼女の姿を探す。
「・・・!?」
だが、その姿はなかった。
どこだ?どこにいる?
珍しく脳が焦っている。
すぐさま起き上がり、部屋を見渡した。
「・・・!! あぁ・・・」
やられた。
彼女はソファーに縮みながら寝ていた。
それは、いつしか見た「もの⚫け姫」を連想させるほどの縮こまりかたで。
「・・・はち」
自分でも驚くほどの優しい声だった。
【はち】
「・・・んん・・・」
掛け布団もしないで、寒そうにしている。
俺はバカだ。
彼女が逃げたのかと思ってしまった
そんなこと、君がするわけないのに。
「・・・こんなにも愛おしいのは、なんでなんだろうね?」
髪に触れる。
さらさら過ぎるほどの髪が、指の隙間を通っていくのがおもしろい。
髪を避けて、耳に口を持っていく。
「・・・ありがとう」
囁いて、耳朶にキスをおとした。