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【黒子のバスケ】どうしようもなく好きだったから

第41章 どうしようもなく好きだったから。


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────お前はいつもいつも、俺の仕事の邪魔してたよな。


・・・うるさいなぁ



────ちょこまかしてて危なっかしくて、見てられなかった。



・・・うるさいっ



────母さんが死んだときのこと、覚えてるか。



・・・お母さん?




────お前が生まれてすぐ、だったな。

母さん、栄養失調で亡くなったんだ。

つわりが酷くて食えなくて、
その後も何も喉を通らなくて、

『お腹の子が元気じゃなくなる』って

いつもいつも泣いてた。


俺はそのとき何もしてやれなくて
自分を今でも恨んでるよ。


お前と入れ代わるように
母さんは亡くなった。


光が途切れた、ように思えたんだ。


葬式もしてやれなくて
墓だけ一人前に造ってやって、
毎日のようにお墓参りしてた。

お前が寝てる姿を見ながら、
「なんでお前は元気なんだ」って
少し、恨めしくも思ってたんだ。

母さん、お前を思って泣きながら死んだのに

なんでお前は小さなことですぐ泣くんだ、って

そう思ってたんだ。


でも、それはちょっと違ってた。

お前が、母さんと似てきたなって思った頃、

走馬灯みたいにさ、
母さんのこと、流れていったんだ。


お前を思って泣いてた。けどな、

お前を思って、笑ってもいた。


『元気に育って』って
『美人さんになってね』って

笑いながら
膨らんだお腹をさすってたんだ。

その笑顔が、

お前にそっくりなんだよ、はち。


「お父さん、お父さん」って
笑顔で駆け寄ってくるときの笑顔、
母さんそっくりだよ、お前。


それが、嬉しかった。



その頃から、お前を何がなんでも守ろうって決めたんだ。

遅すぎだよな、父親失格だ。
ごめんな。




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