第41章 どうしようもなく好きだったから。
『・・・ここって、』
先輩のお父さん、の・・・病院、だ。
なんでこんな所に・・・
受付にいた先輩は
「行くぞ」と告げて歩き出した。
【虹村父】
「・・・ん? おや・・・」
『お、お久しぶりです・・・』
【虹村】
「おい、連れてきたんだから礼くらい言えよー」
やや恐縮していたけれど、
わたしはこの人が大好きだった。
わたしのお父さんに、似ているからだろうか。
【虹村父】
「まったく、親に対してなんだその態度は・・・。
まぁいい。
ほら、はちちゃんも座りなさい」
『あ、はい』
ベッド脇の椅子に腰かける。
その後ろで腕組をしながら先輩が立った。
『あの、』
【虹村父】
「うーむ・・・どこから話そうかな」
『え?』
独り言のように呟き、
先輩のお父さんは引き出しを開けた。
その中に────一通の手紙。
それをわたしの前に差し出した。
『え・・・?』
状況が飲み込めず、
とりあえずそれを受け取っておいた。
【虹村父】
「実はそれ・・・君のお父さんから預かっていたものなんだ」
無意識に息を呑んでいた。
お父さんが・・・?
なんのために・・・
【虹村】
「ほら、あいつ体調を崩していただろう。
そのとき、自分はもう長くないと言っていてね・・・
それで、書き上げたものらしいんだ」
言葉が出てこない。
封を開け、中身を取り出した。
たった、1枚。
その1枚に、ぎっしりと書かれている文字。
【虹村父】
「・・・あいつも、なんだかんだで、」
───────────はちへ。
【虹村父】
「ちゃんと父親だったんだな。」
─────────愛する我が子へ。