第40章 終わりへの扉
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先輩が追い払って、赤司くんがみんなを連れ出して、ふたりきりになってしまった。
どっからか、缶のジュースを出してくれる。
それを受け取って、お礼を言って、言葉が止まった。
『・・・先輩。』
【虹村】
「んあ?」
ジュースを飲みながら応えてくれる。
その目は、窓の外の夕日を見つめていた、と思う。
『・・・先輩は、』
【虹村】
「好きだ。」
・・・
・・・・・・えっ?
【虹村】
「どうせお前いま、『今のわたしのこと、本当に好きですか?』みてーなこと訊こうとしてたんだろ。」
『え、あ、』
図星過ぎて何も言えない。
【虹村】
「なにバカなこと訊こーとしてんだよ、バカ。」
『ば、バカって!』
「ほっ」と座っていた机から降りて、先輩は窓辺にいく。
飲みかけのジュースは置いていったままだ。
【虹村】
「俺の気持ちは変わんねぇ。
お前がもし俺を嫌いになっても、ぜってぇ離さねぇから。」
微笑んで、またすぐそっぽを向く先輩。
その姿に、もう抑えられなくなって、先輩の背中に飛び付いた。
【虹村】
「う、おっ!?」
よろけながら、驚いた声をあげる先輩。
よろけた拍子に頭をぶつけたらしく、こちらに向かって怒鳴ってきた。
【虹村】
「あぶねーな!おまえ、もうちっと加減を、」
『あの』と、遮ってみる。
『わたしが、先輩を嫌いになるなんて、きっと一生ないですから。』
ちゃんと笑えたか分からないけど、精一杯笑ってみた。
【虹村】
「・・・おう、知ってる。」
なんですかそれー、と茶化してみるけど、先輩は真剣顔だ。
そして、その顔のままわたしを正面から抱き締めてくれる。
『・・・そんな顔で抱き締められたらめっちゃ怖いんですけど。』
【虹村】
「うっせーな!抑えてんだから黙っとけ」
ふわっと先輩の香り。
そしてわたしからも同じ香り。
それがものすごく、嬉しいよ。