第6章 色彩豊か
体育館を出ても腕を離してくれない赤司くんに声をかける。
『あか、赤司くん!ちょ、止まっ』
【赤司】
「・・・やっぱりダメだな」
『え?』
止まってくれたけれど、振り返ってくれない。
生憎、彼の背から感情を読み取れるほど、私は進化していない。
故に、赤司くんが何を考えているのかが分からない。
『・・・あか』
【赤司】
「さっきはすまなかった。無理矢理連れてきたりして」
言葉を話させない、と語るように遮られる声。
温厚と知らされている彼からは想像もつかない行動だった。
【赤司】
「・・・嫌なら、戻ってくれても構わない」
そういうくせに、顔に「行かないで」って書いてあるよ
虹村さんのお宅に連続してお邪魔するわけにもいかないし・・・ここは赤司くんに甘えさせて貰おう。
『・・・お世話になります』
その時の赤司くんときたら、喜んでるのかどうかすら分からないくらい、ポーカーフェイスだった。