第40章 終わりへの扉
ウジウジなんかしてらんなくて、
わたしは立ち上がった。
こんなところで立ち止まってる場合じゃない。
【青峰】
「────はち!」
声。
さっきまで近くにあった声が、
遠くで晴れやかに響く。
【青峰】
「・・・これからもよろしくな!」
────あぁ。
わたし・・・悩む必要なかったのかもしれない。
彼は・・・ちゃんと取り戻してる。
笑顔がそう語ってる。
わたしもその笑顔に負けないように、
とびっきりの笑顔を見せたつもり。
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【黄瀬】
「・・・ねね、はちっち」
『ん?』
教室で昼寝から目覚めていると、
涼太がトテトテとやって来た。
なんだか焦ったような口調で、
何事かとわたしも身を起こす。
『なにかあった?』
【黄瀬】
「いやっ、大した事じゃ・・・ないんスけど・・・」
語尾が聞こえん。
どうした?
『なんでも言っていいよ』
【黄瀬】
「っ・・・う~っ!
──っ青峰っちに!なに言われたんスか!?」
・・・ビックリした。
『・・・なんだ、そんなこと?』
【黄瀬】
「そ、そんなことって!
俺にとっては重要なんスよ!」
そんなに急かすものでもないから、
ゆっくり伸びをした。
『・・・青峰に、聞いたの?』
【黄瀬】
「教えてくんないんスよ~!」
本人が喋らないのなら、
わたしは言わない方がいいかもしれない。
『・・・青峰が言わないなら、わたしからは言えないかな。
ごめんね、涼太』
【黄瀬】
「!・・・そう、ッスよね」
悲しげに微笑む涼太。
『涼太にだけ言えないって訳じゃないから。ね?
みんなに言えないの。
青峰が言いたがらないことを、
わたしは言いたくないだけだよ』
そういうと、少しだけ・・・
ほんの少しだけ笑ってくれた。
【黄瀬】
「・・・わかったッス。
はちっちの優しさが見れただけでもよしとしよ~っと」
『え、なにそれ!?』
【黄瀬】
「ははっ!なんでもないッスよ~♪
・・・あ、そだ。お昼いっしょに食べないッスか?」
『おっいいね。食べよ』
あの悲しげな涼太はどこへやら。
いつものワンコが、戻ってきた。