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【黒子のバスケ】どうしようもなく好きだったから

第39章 通常運転



進もうとしていた足が止まる。

理由は簡単。

腕を掴まれたから、だよね・・・?



『み、見てないですから・・・

離して、ください。』



可愛いげもないことを言ってしまう自分が嫌だ。

騙した赤司くんにムキーッとなりそう。

なのに、騙してくれた赤司くんのおかげで先輩と会えてる気がする。


赤司くん。君はいつも、



【虹村】
「・・・お前離したら、どっか消えそうだから・・・嫌だ。」




・・・嗚呼。


紡ごうとしていた言葉が、小さな息の塊となって口から出ていった。

声も出せない。

目がじんわりと熱くなっていく。


この感覚、知ってる。

泣きそう、だよね。



ダメだ、今は泣いちゃダメだよ。

先輩だって、わたしに気を使ってくれてるだけ。

期待しない方が、楽だよ。



・・・なのに





『・・・な、んで・・・そんなこと、言うのかな・・・』





期待してる自分、いる。





あ、声が震えてる。カッコ悪い。

泣き声が口から出てきそう。情けない。


先輩の前では、いつでも、


『可愛くいたかったのに、なぁ・・・』



言葉が終わるか終わらないかの時点で、背中に熱を感じた。


【虹村】
「・・・俺だって、かっこよく居てぇよ・・・」


今度こそ、泣きそう。

ほんと、嫌だ。


自分、大っ嫌い。



みんなだって、昔のわたしの方が、好きでしょ?

今のわたしなんて、怖いし気持ち悪いでしょ?


『昔のわたしに、会いたいでしょ・・・?』










【虹村】
「・・・今のお前にも、会いたかった。」























でも、ごめんね。

今のわたしと昔の私は違う。

あなた達が会いたい『三井 はち』は

もうどこにも居ないの。



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