第37章 ようやく出てくる答え
──はちside───────────
熱も冷め、
意識も確実になった頃。
【桃井】
「じゃあ、はちちゃん。
私、体育館戻ってるけど、何かあったら電話して!
走ってくるから!」
くれぐれも、出歩いちゃダメだよ!
と、念を押された。
そんな、風邪みたいに・・・
と、言うと、
風邪なんです!!
と、怒られた。
『・・・風邪、だったんだ・・・』
額に腕を乗せてみる。
確かに、火照ってた。
でもきっと、この火照りは・・・───
───さつきの忠告を無視し
体育館へと足を進める。
ちゃんと言わなきゃ──
『赤司くん!!!』
赤髪が風邪に揺られながらこちらを振り向く。
綺麗に、滑らかに。
【赤司】
「どうした?」
『あ、えーっとね、
さっきはありがと!運んでくれて』
【赤司】
「えっ・・・?」
驚いたように目を見開き、
綺麗な紅の瞳を晒している。
さつきの怒鳴り声が体育館に響いていた気がした。
でも、それも遠く感じて──
わたしの意識の先にいるのは、
先輩だったから。
先輩は苦しそうに俯いて、
眉間にシワを寄せている。
【赤司】
「・・・・・・いや。どういたしまして。」
優しい優しい声が降って、
わたしを包んでくれる感じがした。
微笑みあって、それで。
どちらからともなく手を繋いで・・・
・・・なんて、訳にもいかず。
体育館だしね、人いるしね。
微笑みあって、それで。
終わり。
でも
それだけで今のわたしは幸せだった。