第32章 抑えられない
・・・・・・ん?
・・・目の色、変わってる・・・?
『先輩!』
【虹村】
「うおっ、なんだよ」
『目の色・・・私の目の色、変わってるんですか!?』
真剣な、真っ直ぐな目で貫かれる
その目に映っている私は───
【虹村】
「───両目とも、真っ赤だ」
両目とも────
今までは、片目だけ色が変わってたはずなのに・・・
『え────?』
私、またなにか宿ったの・・・?
───また?
あの、先輩のお父さんの病室で見た、先輩の目を
また、見ちゃうの・・・?
得たいの知れないものを見たような、怯えたようなあの目を───
また、浮かべさせちゃうのかな───
【虹村】
「───!! はち!!!」
遠くで、先輩の声が聞こえた気がした────
ごめん、にじむー
私、やっぱり何も知らない方が
幸 せ だ っ た
何も知らなければ、み ん な 幸 せ だ っ た の に