第32章 抑えられない
・・・と、とりあえず中に入りたい!
『先輩! 放してください!ってさっきから言ってますよね!?』
【虹村】
「・・・わーったよ」
渋々(?)放してくれた先輩の上から退いた
『・・・っ』
そのとき一瞬見えた、先輩の赤い耳に、やっぱりドキンとする
・・・あぁ、もう
どうしてこんなに惑わされるんだろう
【虹村】
「・・・今日の晩飯なんだよ」
『なんですかその生意気な言い方!』
【虹村】
「・・・俺からしたらお前の方が生意気なんだけどな」
さりげなく鞄を持ってくれたことに気がついて、また顔に熱が集まる感じがした
・・・それが、すごく嬉しいんだ・・・
────でも、その反面───
・・・やっぱり、不安になるよね
『・・・こんなんじゃ、ダメだ・・・』
自分に暗示するように、小さく小さく聞こえないように呟いた
『・・・もっと、強くなんなきゃ・・・』
そうだよ
もっと、もっと強くなって・・・
───みんなを守んなきゃ・・・
笑っていこう
笑っていよう
みんなが笑顔でいてくれるように
涙なんかダメだ
黒子くんにはもう見せちゃったけど、もうこれで終わりにしよう
強く・・・強く・・・
『───っ!!!?』
───目──・・・?
先に行った先輩には気づかれてないみたい
よかった・・・
いきなり目眩するんだもん
ビックリして腰抜けちまったよ
廊下に座り込んだまま、片目を押さえる
・・・なんか、厨二くさいな←
でも、目が燃えるように熱い
どうして───
なんでこんなに・・・
こんなこと、今までなかったのに
また、あのメーターみたいなの見えるのかな・・・?
ダメだよ、いまは用事ないよ!
【虹村】
「────はち!?」
・・・あぁ
【虹村】
「どうしたんだよお前!」
・・・気づかれた
『・・・わかんないです』
ガッカリしたはずなのに・・・
・・・なんか、すごく嬉しい
【虹村】
「・・・・・・目の色変わってんな・・・
立てるか?」
『あ、はい』