第27章 黄の心
───夏休みの後半・・・あと数日で新学期というある日。
部活帰り、ひとりで何かを眺めているはちっちに出会った。
いつもはキャプテンと一緒に居るのに・・・珍しいッスね?
「お~い! はちっちー」
『あ! 涼太くん!』
近寄ってみると、なんかの貼り紙を見ているらしかった。
これは・・・花火大会ッスね?
夏祭りにはもう黒子っち達と行っちゃったッスからね・・・
俺も、はちっちと行きたかったなぁ
『・・・行きたい』
「え?」
不意に聞こえた安心する声。
貼り紙を眺めて、微笑んでいる。
・・・───ここは男を見せるところッスよ!俺!
「──はちっち!
一緒に───・・・花火大会行かないッスか!?」
『────いいの!?』
ぱぁっと輝く笑顔。
ぐはっ──かわいすぎるッス・・・
「はちっちがよければ、全然いいッスよ」
『やった!じゃあ、さつきちゃ──』
「はちっち。・・・二人がいいッス」
『え・・・?』
こんなに、誰かに真剣になるなんて、無いと思ってたのに。
自分でも驚くくらいの低い声。
スマホを取り出そうとしていたはちっちの腕を掴んで、自分の方へ引き寄せる。
『───っわ!』
シャンプーの香りが仄かに香る。
───キャプテンの香りと、一緒だ。
知っていた。
キャプテンとはちっちが一緒に住んでいることくらい。
そんなもの承知で好きになったんだから。
でも・・・地味にこれはグサッとくるッスわ
───・・・きっと、ふたりは相思相愛・・・
・・・それも感じながら、でも、好きになってしまった。
仕方ないんスね、好きになるのって。
抗ってどうにかなるもんじゃない。
やめたくてもやめられない。
残酷だ。
『・・・どうしたの?』
「・・・今は、はちっちのことをこうしてたいんス」
残酷だからこそ、俺は燃えてきた。
やっぱ、ほんとのかっこよさって運命に抗えった男!みたいなイメージがある。
それを・・・実現させて見せるッスよ、はちっち。
きつくきつく、抱き締めた。
首もとに顔を埋めて、バレないように首にキスを落とした。