第27章 黄の心
「はちっち~!」
『ふげっ』
体育館で見かけたその背中に飛び付く。
やっぱ、はちっちってなんか違うッスね
柔らかいのに、なんかこう・・・
安心するって言うか?
女子って、もっとこう・・・
不確かなものだと思ってたけど、違うみたいな?
この人とならなんでも乗り越えられる気がするって、思ってる。
・・・照れ臭いッスね、こういうの!
【虹村】
「あ!? おいこら黄瀬ェ!!
なにイチャついてんだよ!!!」
「あっれ~? キャプテンやきもちッスか~?」
【虹村】
「んなっ・・・そんなわけじゃねーし!」
『180㎝近い男のツンデレは少し無理がありますよ』
【虹村】
「ツンデレじゃねぇわ!アホ!!」
・・・キャプテンに邪魔され、抱きついていた腕を離す。
これからいいところだったんスよ~
ゼロ距離まであと少しだったのに!
・・・あ!
「はちっち! こっちこっち」
『ん?なに?』
はちっちを呼び止め、目の前に来させる。
肝心のはちっちの目は、洗濯物を映していて、俺を映してくれてない。
『───!!』
はちっちの顎を持ち上げる。
いわゆる、顎クイってやつッスね
『どした?』
・・・これでオチない女子なんていない、はずだったのに。
まったく動じてないッスね、はちっち・・・
もしかして、はちっちって女子じゃないんじゃないッスか?
『────ぅわ!』
今度は腕を引き、抱き締める。
そこで我に返った。
やっぱ、はちっちって女子ッスよね
華奢な体も、狭い肩幅も、少し当たってる・・・・胸も。
どうしたんスかね俺?
でも、今は無性に彼女と近くにいたい。
そう思えるのは、はちっちにだけだ。