第25章 赤の心 part 2
『・・・私が行っていた世界では、君達のバスケは、「キセキの世代」として漫画になっている。
この世界は、その漫画の中の世界。
つまり、君たちは本当は存在しない──するばすのない存在なんだ。』
『でも、この世界は本当にあった。
だから私は君達の存在を否定しない。
否定、したくない。
私が今まで生きてきた第2の世界だから──』
『・・・その漫画の流れでは、君たちは価値観の違いでバラバラになっていく設定・・・』
『・・・その発端は──赤司くん、君にあるんだ』
唐突に俺の名前が出てきて、言葉を失う。
みんながバラバラになるのは、俺が原因?
どういうことか、飲み込めない。
「──俺が・・・?」
『うん。
今の赤司くんではない──違う人格の貴方が、みんなをバラバラにさせていくかもしれない』
『でもそれは、貴方だけのせいじゃない。
みんなが、才能開花──つまりとてつもなく強くなっちゃうのが大きな要因。
その強さが、虚しさを生んでしまう。
勝つことが当たり前になってしまう』
勝つことが当たり前───
そんなこと考えたこともなかった。
それよりもまず、『違う人格の自分』とは、どういうことかがわからない。
「・・・その、違う人格の俺というのは、どういうものから生まれてくるんだ?」
───嘘だ。
本当は気づいている。
どうして違う人格が生まれそうなのかが。
薄々きづいていた。
自分の中に、何か違う者がいると。
家の俺と、学校でみんなに会う俺がどこか違う。
わかっていたことなのに、受け入れたくなかった。
認めたくなかった。信じたくなかった。
説明に迷っているはちを見て、我に返った。
「・・・いや、いい。忘れてくれ・・・
───ありがとう、はち。話してくれて」
何かを誤魔化すように、はちの体を包んだ。
だが、その瞬間───