第25章 赤の心 part 2
【黄瀬】
「────っ!?」
息を呑む声があちらこちらで聞こえてくる。
黒子も瞬きもしないで見ている。
点差はなんと───10点差以上。
ありえない。
青峰が、負けている。
はちが、リードしている。
【青峰】
「───ッ!? くそっ、」
『グダグダなんだってば・・・───
気づいてよ───・・・』
しかも、はちは何かを呟きながら点を決めている。
琥珀色が、綺麗に宙を舞う。
だが、はちのバスケは上手いとはお世辞にも言えなかった。
フォームはグダグダだ。
だが、なぜか安定感がある。
まるで黒子のバスケのような───
───そこで、気づく。
『──ちゃんと見てきたから──』
あの言葉の意味を。
はちが見てきたのは、主に黒子のプレー。
黒子のパスのしかた、ドリブルのしかた、フォーム・・・
パスはないが、パスの時に用いるミスディレクションが使われていた。
・・・はちが見てきたのは──これなのか──?
青峰が翻弄されている。
【灰崎】
「・・・チーッス。・・・って、あァ?」
灰崎が現れた。
体育館の扉を開けた瞬間飛び込んできた光景に、目を見張っている。
【灰崎】
「・・・・・・はちなのか? あいつは・・・」
はちのプレーは危なっかしいが、それ以上に、青峰のフォームはグダグダだった。
焦りが生む、焦り。
負の感情からは、負の感情しか生まれてこない。
それはプレーにも繋がっていて。
シュートを打つが、外すかリングに当たるか。
どちらかしかない。
───ピィィィイ
終了