第24章 灰の心 part2
よくよく考えてみれば、俺の人生なんてろくなもんじゃなかった。
手当たり次第、女に手を出して、遊んで、簡単に捨てて。
幸せな奴らを見てると胸くそ悪りぃから、その幸せを奪う。
それが、俺にとっての幸せだったから。
別に、誰になんと言われようと気にしなかった。
言いたきゃ言えよって感じ
口では偉そうなこと言って、何も出来ない奴らを見てると心底笑えてきた。
なのに・・・それなのに
はちなんかと会ったから、俺のその幸せは覆された。
『──ほら、灰崎くん!
サボってないで部活行け!』
「あァ? ・・・お前誰だよ
つーか何? 行けとか偉そーだな」
これが出逢いといえば、そうなんだろう
自分でも最低な出逢いかただと思う
その時の俺は、女と遊ぶ約束っつーのをしていたときだからイライラしていた。
でも、あいつの言葉は俺のなにかにぐさりと刺さり込みやがった。
『三井はち。この前転校してきた。
──少なくとも、あんたよりは偉い』
「・・・チッ・・・・っの・・・ッ」
俺より明らかに小さいそいつに、何様なんだと腹が立った。
でも、そいつはそれから何も言わない。
黙って、俺を見据えていた。
それは、軽蔑しているような目にも見えて。
そんな目、何度何度もあびてきたはずなのに、こいつのは無償に腹が立って。
──他の女みてェに遊んでやれば、どうせ俺が気になってしょうがなくなるだろうと思った。
「・・・これから、暇か」
『いえ、暇じゃないです。
・・・変な期待でもしてたんですか?』
鼻でフッと笑われる。
その瞬間、俺の怒りは最高潮に達した。