第23章 虹の心
───・・・はい、私もです
って言えたら、どれだけ幸せだろうか
でも、このときの私は、声が出なかった。
その代わり、ブンブンと首を縦に振って。
これは───イエスサイン。
私も、虹村先輩という人間が、好き
【虹村】
「───そうか」
恥ずかしさに目をぎゅっと瞑っていると、ふっと聞こえてきた笑い声。
それがにじむーのだってだけで、ものすごく嬉しい。
次の瞬間、唇になにかが重なった。
『・・・んっ・・・んむ・・・』
【虹村】
「・・・っは・・・はぁ・・・」
何度も何度も、朝なのにキスして。
眠気なんか、どっかに吹っ飛んでいた。
『・・・っ、せんぱい・・・』
【虹村】
「・・・・っは・・・んだよ」
何気に首を固定していた手を肩の方まで滑らされ、思わず止めてしまった。
ダメだ、起きなきゃ。
約10分前の自分と正反対のことを思いながら、先輩の肩を押した。
『・・・朝だから・・・、だから、あとでに、してください・・・』
【虹村】
「っ・・・わかった」
渋々ながらも退いてくれて、動機もおさまる。
いきなりだったから、めちゃくちゃビックリした。
・・・せっかく動機もおさまったのに、先輩の真っ赤な耳とその後ろ姿に、またドキドキしてきてしまった。