第22章 first story
『緑間、ただいま』
【緑間】
「・・・おかえりなのだよ、はち」
『あれ? 今日は素直だね』
【緑間】
「素直などでは無いのだよ!」
ツンデレ発動してる緑間の髪もくしゃくしゃになるまで撫でた。
・・・なんか、怒られたけど。
『むっくん。ただいま
・・・むっくんは、私にヒントをくれた人だね』
【紫原】
「俺そんな大袈裟なことしてねーしー。」
『照れるな照れるな』
可愛く見えてきて、むっくんの体をぎゅうぎゅうと抱きしめた。
抱きしめ返してくれて、なんだか温かい気持ちになる。
『───赤司くん』
【赤司】
「・・・・・・はち。本物だよな?」
『当たり前だよ(笑)
・・・ありがとう、目を覚まさせてくれて。
あと、手首の包帯も。
赤司くんには、助けられてばっかだ』
【赤司】
「はちは、俺が守ると決めたからな」
彼の髪も、手ぐしをするように撫でる。
すると、その手を握ってくれた。
『───先輩』
【虹村】
「・・・・・・んだよ。」
『泣いてくれてたんですか?』
【虹村】
「泣いてねーよっ!」
そう言う瞬間にこっちを振り向いて。
うっすらだけど、涙目だ。
素直じゃないなぁ、どいつもこいつも
『・・・先輩がいなきゃ、私、死んでましたね』
【虹村】
「あ?」
高すぎて届かなかったけど、髪に手を伸ばす。
──でも、それも叶わず。
『っ』
伸ばしていた手を握られ、口元に持っていかれた。
そのまま手の甲にキス。
にじむーらしからぬ行動に、心拍数がめちゃくちゃ上がった。
『ちょ!な、っに、してるんですか!』
【虹村】
「これぐらいいーだろ・・・」
一瞬だけど、先輩が王子様に見えた。
一瞬ね、一瞬