第22章 first story
──気がつくと、保健室のベッドの上に寝かされていた。
『・・・う、・・・あれ? 痛くない・・・』
咄嗟に手首を握ったが、思ったよりは痛くない。
見ると、包帯が綺麗に巻かれていた。
セミが鳴いている。
夏なんだ
カーテンがふわりと揺れていて、思わず寝そうになってしまう。
『──! ダメだ、体育館行かなきゃ・・・』
『───すいませーん・・・・ってえぇ!?』
扉に顔を出した途端、全員が一気にこっちを振り向く。
いきなりすぎてビビった。正直
【桃井】
「───は、はちちゃーーーーーん!」
真っ先にさつきちゃんが飛び付いてくる。
思わずよろめいたが、なんとか踏みとどまった。
抱きついている間、ずっとさつきちゃんは「バカ・・・」と呟いていた。
【桃井】
「───勝手に・・・居なくならないでよ
・・・っ」
『・・・うん。ごめんね』
【桃井】
「・・・ずっとずっと、寂しくて・・・っ
みんなが、バラバラになりそうにっ、なっても・・・っ
私、なにもできなくて・・・っ」
『・・・ううん。さつきちゃんはよくやったよ。
もう大丈夫だよ。大丈夫・・・』
泣いている彼女の背中に手を回して、ゆっくり撫でる。
いろいろ、重荷を背負わせちゃってごめんね。
今度は、私も支えるよ
みんなのこと。
『・・・──黒子くん』
【黒子】
「・・・おかえりなさい。はちさん」
『──ただいま』
泣きそうになっている彼の頭を撫でた。
いつもは不服そうな顔をするけど、今は笑顔になってくれて。
【青峰】
「はち! お前・・・っ」
『青峰も、よくやったね。
・・・ちゃんとサボらないで頑張った。
──・・・待ってくれて、ありがとう』
【青峰】
「────おう!」
青峰に笑顔を向けて。
大丈夫って伝えた。
ありがとう、って。
『───黄瀬、くん』
【黄瀬】
「なんで他人行儀なんスか!
下の名前で呼んで欲しいッス☆
・・・はちっち」
『うん、そうする。・・・涼太くん』
【黄瀬】
「うっ・・・、どストライク・・・っ!」
『はい?』