第22章 first story
久しぶりの帰り道も、なんだか泣けてきて。
たった一瞬のような出来事だったのに、ものすごく長い年月が経っている気がしてならなかった。
【桃井】
「はちちゃん。
帰ってきてくれてありがとう・・・」
『さつきちゃん・・・』
またしても抱きついてきた。
でも、今度は優しく包み込むようなハグ。
それが、会えていなかった空白を埋めるような感じがして
わたしもその背中に腕を回した。
【青峰】
「・・・レズやってねぇで、早く帰るぞ」
【黄瀬】
「いくら美少女の図でも、はちっちに抱きつくのはいただけないッス!」
【桃井】
「もー! 大ちゃんもきーちゃんも!
変なこと言わないでよー!」
私に抱きついたまま、二人に抗議しているさつきゃんの姿に、可愛いと思ってしまう自分がいた。
・・・いや、百合って訳ではない。
【緑間】
「・・・今日のラッキナンバーは8なのだよ。」
『それがどうかした?』
【緑間】
「・・・はち。隣に来るのだよ。」
『・・・はい?』
──・・・もしかして、数字の8と、私の名前の『はち』をかけてるの?
『んなアホな・・・』
いくらおは朝信者の緑間でも、こんなアホらしい考えは思い付かないはずだ
【緑間】
「・・・数字の8と、お前の名前の、」
『あー言わなくていいから!
なんかもうオチ分かってるから!』
・・・まじかよ。
だが、大人しく緑間の隣に並ぶ。
【紫原】
「あー、なんかみどちんずりーしー」
【緑間】
「フン、これが運命なのだよ。」
【黒子】
「緑間くんはいつもそう言う言葉で言いくるめますよね」
【緑間】
「黙るのだよ黒子」
久しぶりの仲間の会話に、目元が熱くなっていくのがわかる。
こんなに大事な仲間のことを、少しの間でも忘れていたなんて。
サイテーだな、わたし
ごめんね、の
言葉なんかじゃ、償いきれない
【赤司】
「・・・──はち?」