第20章 夢
《───あ、はちちん~》
『あ!むっくん! 久しぶりだね』
《うん、久しぶり~》
相変わらず、大きいなぁ
《・・・やっと会えたよ、はちちん》
『え? やっと、って?』
《俺、ずっとはちちんに会いたくて、はちちんが居なくなったあの日から、ずっと考えてた。
・・・だから、やっと。》
『? ・・・へぇ?』
私が、居なくなったあの日・・・?
《───やっぱり、はちちん。
忘れてるんだね》
『なにを?』
《──ううん、俺の口から言うことじゃねぇし
だから、待っててよ~》
『? うん、わかった』
《・・・あー、やっぱはちちん、小さいね》
『んなっ、ちょ、離せ! 小さいなんて言うやつに抱きしめさせない!』
《む~。かわいいって意味だし~。》
『私は可愛くないし小さくもない!』
《・・・何いってんの~。
はちちん可愛くなかったら、俺こんなことしないよー。》
『・・・ありがとございます。』
むっくんの大きな腕のなかで、もそもそと動く。
《俺、起きたくないなぁ》
『ダメだよ起きなきゃ。
ちゃんとバスケにすべて捧げなきゃ』
《えー、ダリィ~。》
『人生、楽ばっかだったらつまんないでしょうが』
《そーおー?》
『そーゆーもんなの!
ほら! ちゃんと起きる!』
むっくんの背中を小突く。
その瞬間、私のなかで何かが弾けた。
《・・・はちちんも、やっとだね》
『───そうかも』
目を覚ます。
でも、夢の記憶はまだ残っていた。
背中を押したあのとき、
誰かの背中をこうやって見ていたのを思い出した。
その背中は───