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【黒子のバスケ】どうしようもなく好きだったから

第20章 夢




夢も、いつかは覚めるものだ。



だが、確実に──彼女の記憶を呼び覚まそうとしていた。











《───はち。》



『あ! 緑間! なんか、久しぶりな感じしない?』



《・・・・そうか。》



『もー、やっぱりノリ悪いよー
そんなんじゃモテないよー?』



《別にモテなくてもいいのだよ!》



『えーもったいなーい。
綺麗な顔してんのに』




1歩 1歩。


近づくにつれて、緑間は遠ざかる。




『ちょ、逃げないでよ』


《に、逃げてなどいないのだよ!》


『このツンデレ~』




人ひとり分の距離まで近づけた。


眼鏡の向こうで見つめているその目が、いつも綺麗だと思っていた。



《・・・お前は、早く帰ってくるのだよ》


『みんなにそれ言われるんだけど~?
それって、どういう意味なの?』


《・・・最近、運勢が最悪なのだよ。
はやく、戻ってこい》


『だ、だからー、それってどういう意味・・・・』




そこまでいって、言葉に詰まる。





《・・・誰も、お前のことを嫌ってなどいない。
忘れてさえもいない。

だから・・・》




頭にかかる重みが、温かみが、何かを思い出させる気がした。



あれ?




緑間と重なって見える、あなたは・・・誰?




なぜだか、その人にいつも頭をクシャクシャになるまで撫でられていた気がする。




《───遅すぎなのだよ。》







緑間の微笑み。


はじめてみた、笑顔。








───そこで、終わる夢。



「・・・あ、れ」



枕にできる染み。


これは・・・


「・・・なんで、涙・・・?」



あったかい。
涙。




『頭にかかる重みが、温かみが何かを思い出させる気がした』。




「────・・・あぁ・・・」



どうして、思い出せないんだろう。
こんなに、涙が出るのに。
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