第20章 夢
──第3者side─────────┐
その日の黒子は、なんだかボーッとしていた。
【黄瀬】
「くーろこっち!
なーに浮かない顔してるんスかー?」
【黒子】
「・・・あ、いえ。
・・・なんだか、昨日見た夢に、はちさんが出てきて・・・」
【虹村】
「!!!?」
思わず虹村は息を呑んだ。
【黄瀬】
「あー、はちって、青峰っちとかが言ってる人ッスか?
俺も会って見てーッスわ」
【赤司】
「・・・どういう夢だったか、覚えてるか?」
珍しく赤司が興味を示した。
【黒子】
「・・・えっと・・・
うろ覚えなんですけど、気がついたらはちさんの名前を呼んでいて・・・
振り向いたはちさんに・・・何かを訴えたような気がします」
目を閉じて、その情景を思い浮かべる一同。
不思議な静寂が部室に漂った。
【青峰】
「・・・・・・・いいなー」
【緑間】
「・・・たまにはそういう夢でも見てやりたいのだよ。」
【紫原】
「ツンデレ~」
「そういうわけではないのだよ!」
と叫ぶ緑間。
【黄瀬】
「そんな夢を見られるなんて、そのはちって人と黒子っちは運命の人なんスね!」
【虹村】
「!! な、ん・・・だと・・・!?」
フリーズして目を見開く虹村を横目でチラリと見て、赤司は肩を震わせて笑った。
【虹村】
「!! わ、笑うんじゃねえよ赤司ー!」
──《笑うんじゃねえよ赤司ー!》
「っえ?」
この間買ったブロマイドを見ていると、突如、脳内に声が響いた。
はちは思わず周りを見渡す。
「な、なに今の・・・?
・・・完璧に『赤司』って言ってたよね?」
ブロマイドを見つめて、しばし黙り混む。
そして、自嘲気味にわらった。
「疲れてんのかな~
幻聴に決まってるね」
微笑んで、ベッドに突っ伏す。
「・・・1度でいいから」──
──【黄瀬】
「会ってみたいッスねー!」
見上げた空には、星が光っていた。