第19章 大好き
───虹村side─────────┐
俺は3年になった。
何ら変わりない日々かと思っていたが・・・実際のところ、分からねぇ。
これから、俺らはどうなっていくんだ?
・・・はちなら、こんなとき一喝いれてくれるんだろうか
『──ほら! シャキッとしてください! 帝光バスケ部のキャプテンでしょうが!あなたは!』
「──!?──」
──・・・はちはもう、いねぇんだよ
そう言い聞かせて、頼りない街灯の下を歩いていく。
いつもは明るく見えたその道も、誰かさんが居ないせいか、暗くしか見えなかった。
「・・・くそっ・・・くそ・・・」
守れてやれなかった。
きつくきつく抱きしめていたはずの体も、呆気なく見送るだけだったな
ごめん、ごめんな
毎度毎度、アホらしいな、俺。
お前を守ってやる、そう誓ったはずなのに、後回しにし過ぎちまった。
そのとき俺は気がついたんだ。
大切なモノを守ること、
それは面倒くさいことだとわかってる。
だけど、《いつか》まで持っていっちまったらダメなんだよ。
気がついたら、それはもう腐っちまってるんだ。
ボロボロになっていて、『守る』なんて言葉、死んでも言えなくなってる。
はち、お前が居なくなるって分かっていたら、遠慮なんかしなかったんだ。
あの幸せすぎる毎日に浸りすぎた。
俺は、浸りすぎてふにゃふにゃになっちまってた。
動けなかった。
どうしようもなかった。
はち───、
俺はお前のこと・・・
どうしようもなく、好きだったんだ。
でも、もうこの想いは届かねぇ。
それを前から分かっていたら・・・
簡単に諦められたのだろうか