第18章 現実味のある話をしよう
───虹村side─────────┐
俺とあいつは、昔からの腐れ縁だった。
お互いの家に遊びに行っては夕方まで遊び明かしたもんだ。
まぁ所謂、幼なじみってやつ。
だけど、いつからかあいつに異変が起こる。
日に日に体が透けていったのだ。
でも、体調は変わらないらしく、普段通り。
そんな特殊なあいつに、またもや悲劇が降りかかる。
あいつを男手ひとりで育てていた父親───淳さんが、事故で急死。
その日から、何もかもが狂い始めていた。
今思えば、あんな風に笑って遊び明かせたのも、奇跡だったんだ。
その奇跡が、壊れていく。
《──おい! お前、どうしっ》
〔お兄ちゃん! 私どうなるの!?〕
その時、気がついた。
こいつが1番混乱しているんだって。
だから、俺は──
《──お前は大丈夫だ。
・・・俺は、お前を離れなくちゃいけねぇ》
〔どうして!? 嫌いになった!?〕
《そんなわけねぇよ!
・・・1番、大切なやつだよ、お前は──》
あいつもまだ3、4歳だったからな。
俺は、咄嗟に嘘をついてしまった。
これが、最後のお別れになるような気がしていたから
〔ふぁぁぁぁぁぁん! おにいちゃっ、いっちゃやだぁぁあ!〕
《・・・大丈夫、大丈夫だ》
いつものように頭を撫でてやっても、いつものように泣き止まない。
《──俺が会いたくなったら、必ず会いに行く。
・・・お前が会いたくなっても、俺が必ず会いに行く》
大丈夫、必ず会いに行ってやる。
そう、思い込んでいた。
こいつが消える──そんなこと、信じたくなかった。
だけど、運命には逆らえねぇ
ずっと泣き止まないこいつの代わりに、俺が笑顔でいてやろう。
・・・ちゃんと、笑顔ができていたかは分からねぇが。
消えるその一瞬の一瞬。
あいつは、少し微笑んでくれた。