第18章 現実味のある話をしよう
虚しく回る扇風機。
窓の外から聞こえる喧騒。
台所から聞こえる音。
遠くで聞こえるテレビ。
洗濯機の回る音。
──懐かしい
『──はっ!!』
目を覚ますと、現世での私の家だった。
あれ? 人身売買は?
あれ? トラックは?
【おばさん】
「ほーらー!? 早く起きなさい!」
台所から声が響き、慌てて起き上がる。
セミの声が聞こえ、窓の外を見たが、何ら変わらない夏景色。
なんだったんだ、今の気持ちは・・・
とりあえずエアコンが一番当たる場所に座り、テレビを見る。
《昨夜、人身売買の容疑で二人の男が逮捕されました。》
『!? ──ぅえっ!?』
【おばさん】
「あら怖いわねぇ・・・」
お母さんの声なんか聞こえず、テレビに見入る。
な、んで・・・
《男達の車から飛び出した女子高生は、その後逃げる途中で車にはねられ、今も意識不明の重体です》
『ぶっ!!!』
【おばさん】
「うわっ、きったなー」
な、どういうこと!?
私は、誰だっけ?
『お母さん! 私の名前って・・・』
【おばさん】
「ちょ、お母さんって・・・
私はあなたのお母さんじゃないわよ?」
『え、』
【おばさん】
「あなた、昔うちに養子に来たの。
・・・覚えてない?」
『え、』
【おばさん】
「まぁ、3、4歳の頃だし・・・覚えてないわよね」
『え、』
【おばさん】
「あなたの名前は、成宮 天。
私が命名したのよ?」
・・・え?