第16章 ファースト
『───・・・っ』
唇が離れ、言葉が飛び出しそうに半開きになる。
何かを言う前に、セカンドキス
今度は、目を瞑ってしまった。
『・・・ん、っ、ふ・・・』
【赤司】
「・・・っ、やめろ・・・そんな顔をするな」
え、どういう顔?
普通ならそう訊けたのに、今は何も言えない。
思考がストップしている。
何もできない。
何も言おうとしないのを拒否ではないと感じたのか、首を支えている手に力が籠り、また顔が近づいてくる。
・・・待って
そう言いたい。
でも、体験すればわかる
拒む勇気というのを感じていた。
なにしろ、体が動かない。
今の私は、目を瞑ることしか出来ない人形と化していた。
『・・・っ! やっ・・・んむっ』
首を支えている手が首の後ろを撫でたとき、我に返った。
彼の体を押し上げようとしたが、重力なのかなんなのか、あがらない。
当たり前だけど
唇を摘ままれ、変な声が出る
ダメだ。止めさせなきゃ
止まって。お願い
声が出ない。
出させてくれない。
キスは熱くなっていく。
ヒートアップする前に、止めなきゃ
でも、
どうやって・・・・・・?