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【黒子のバスケ】どうしようもなく好きだったから

第16章 ファースト



熱は一向に冷める様子がなく、本格的に上がってきてしまった。



【虹村】
「おいおい、大丈夫かよ・・・」


【赤司】
「今日はうちで預かります・・・
虹村さんはご兄弟のために帰ってあげてください」


【虹村】
「だけど・・・っ」


『先輩、夢ちゃんたち待ってますよ・・・
帰ってあげてください。ね?』


【虹村】
「・・・、わかった・・・。

じゃあ、赤司。なんかあったら連絡しろよ」


【赤司】
「そんなことがないことを祈ります」


【虹村】
「はっ、そうだな」



リュックを片方の肩にかけ、廊下に消えていく先輩。


その姿が見えなくなって、少し不安になってきてしまった。



【赤司】
「・・・不安か」


『・・・そんなことない・・・
ありがと、大丈夫だよ』



赤司くんはベッドの傍らに来て、優しく頭を撫でてくれた。


先輩がグシャグシャに撫でてくれる時とはまた違う、なんだかくすぐったい感じがした。



『・・・ごめんね、部屋借りて』


【赤司】
「無駄に広い家だからな。
気にすることはないさ」



微笑んでくれた彼に、ゆっくりと手を伸ばす。



【赤司】
「───!! はち、」



『ありがとう・・・本当に。
感謝してもしきれないって、こういうことだね』



感謝の言葉を述べながら、赤髪をサラサラと撫でた。


柔らかい髪で、こんな綺麗な髪色でさらさらなのはずるい。




【赤司】
「───本当、敵わないな」





敵わないのは、こっちの方だよ


まだ、私は君に何もしてあげれてない


こんなんじゃ、守ることさえできないよね




ダメだ、強くならなきゃ



涙を誰にも見せないような、そんな人間にならなきゃだ




『───っ・・・!?』



そんなことをグダグダと考えていると、頭を撫でていた腕を掴まれ、手を握られた。



心臓が痛くなってくる。



どんな状況なのこれ!!?




【赤司】
「・・・熱、下がるといいな」


『ちょっ、う、うん・・・そうだね』



微笑みながら、赤司くんは顔を近づけてくる。


頭の横に手を置かれて、なんかやばい


『っ!! なっ、あ、えっ』



握られた指と指が絡んで、恋人繋ぎのような感覚がした。


彼は何も言わない。


笑顔も消え、目には真剣さが読み取れた。
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