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死神に教わる甘え方。【R-18】

第5章 12月17日【あと7日】


夢を見た。
どんな夢だったかは覚えていない。
夢って大体そんなものだろう。
ただ、すごく幸せで儚い夢だった気がする。

今はまだ9時。
ん?まだ9時?

「もう9時じゃんっ!」

「落ち着いて下さい。今日は日曜日です」

死神が笑いながら私の元まで歩いてくる。

「え、あっ……そ、そっか」

彼が笑った。
たったそれだことで、胸の奥の方でこう……ざわざわっと何かが動く。

久しぶりだ。
いや、久しぶりという程の時はすぎてはいないけど、彼が笑ってくれたのはすごく久しい感じがする。

「おはよう」

「おはようございます」

柔らかい声。
ああ、いつもの死神だ。

「あの……」

死神が何か言いたげに口を何度か開いたり閉じたりする。そして、意を決したかのように、私を仮面の奥からじっと見据える。

「昨日……いや、一昨日からのことなんですけど……本当にすみませんでした!あんなことするつもりも、言うつもりも、ましてやあなたを傷つけるつもりなど、微塵もなかったんですっ!」

「あんなことって、壁ドンならぬソファドンのこと?私に対する暴言の数々のこと?傷つけるって具体的に?」

性格が悪い?
そんなの今更だ。
私は根に持ちやすいタイプの性格悪女なのだ。
でも、こんな性格悪女ながらも昨日のことはかなりショックを受けたのだ。

私の存在が彼を苦しめているのだ、と思った瞬間、今すぐ消えたいと……そう思ったくらい。それくらい、悲しかった。

「ううっ………ごめんなさいぃい」

頭蓋骨がへこんでしまわないか心配になるくらいまで、土下座をして床に頭を押し付ける。それが何だかおかしくて、お腹の底から笑いが込み上げてきた。

「ふっ、くくくっ……あははははっ!」

この笑いをどう止めようものか。

私は気持ちいいくらいに笑って、涙を流して泣いた。
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