第4章 12月16日【あと8日】
「すみませんでした。もう、大丈夫です」
どれくらいの間真冬の道路に抱き合って座り込んでいただろうか。誰も通らなくてよかった。
「いいよ、謝らなくて。家に帰ろっか」
はい、と短く返事をして死神が立ち上がる。
私の一歩先を歩く死神が今にも消えてしまいそうな気がしたから、私は必死になって彼の手を握った。一瞬、彼の肩がびくりと跳ねたから手を払われるかと思ったけど、彼は優しく手を握り返してくれた。
そのことがすごく嬉しい。
なんだろうか、この気持ちは。
驚くほど単純で、痛くて切なくて、温かい。
こんな気持ち、私は知らない。
いつか、分かる日が来るだろうか。
この気持ちと、彼をわかることの出来る日がいつか。
今は分からない。
でも、分かりたいと思う。
ゆっくりでもいい。
焦らず、ゆっくり。
この気持ちの正体に気づいた時。
その時は真っ先に彼に教えたい。
だからそれまでは、一緒にいてくれるよね?