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死神に教わる甘え方。【R-18】

第4章 12月16日【あと8日】


「んがぁああっ!」

あー、最悪な目覚めだ。
こんなにも目覚めの悪い朝なんて、今まであっただろうか。

………。

あるか。

どうして今日に限って土曜日なのだろうか。昨日の険悪なムードの中、1日中一緒にいるとか。

あ、今日は部活があるじゃん。

「っしゃあぁああ!」

今は朝6時。
部活が始まるのは朝8時半。

余裕じゃん。

でも、このままずっとこの家にいるのは気まずいので、早目に家を出ることにする。

今日は部活しかすることがないから、ジャージを身につけ、少し伸びてきて肩につく髪を後ろでまとめてからリビングへと向かう。

「おはようございます」

少し冷たく聞こえたのはきっと気のせいなんかじゃない。

「……おはよう」

嫌だな。
折角、森下先生と仲直り出来たのに。
よりにもよって、アドバイスをくれた死神とこんな重い空気になるだなんて。

「今日は部活があるから帰るの遅くなる」

「知ってます。お弁当は作ってあるので持って行って下さい。朝ご飯も作ってあります」

いつもみたいに出来る所は変わらない。でも、いつもみたいな笑顔はない。チクチクと胸が痛んだ。

「門限は8時のままですので」

この人はどこまで私を知っているのだろうか。それこそ、愚問なのかもしれないけど。

ただ少し。
本当に少しだけ。

私は彼の何も知らないことを、悔しく思ってしまう。
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