第3章 12月15日【あと9日】
「椎名先生って彼氏いますか?」
今度はいきなりこれかよっ!?
「い、いっ、いませんけど!?」
「じゃあ、この前の弁当は?椎名先生が作ったものではありませんよね?」
「そ、それはっ、その……弟が……」
死神とか言えるわけがない。
あの三バカに料理が出来るとは思えないけど、森下先生はしらないだろうからこれならなんとか切り抜けられる。
「弟さんがいたんですね」
それじゃあ、と森下先生が一歩私に近づいた。それだけで私の頭の中はパニックだ。
「これからはどんどん攻めていきますね。俺、椎名先生が好きなので。あと、敬語やめてもいいですか?」
せ、攻めっ!?
攻めって攻め??オフェンス?
「もうお好きにどうぞ!」
「それじゃあ、生徒の前以外は敬語やめる。ってことで、椎名さんもやめて」
「わ、わかった」
なにこの少女漫画的な展開!
森下先生、顔は整ってる方だし……っていやいやいや!私のキャラ崩壊しちゃってるじゃんか。こんなに狼狽えやすい性格じゃなかったはずだ。
森下先生が私にファイルを返して、また明日、と理科室を出て行く。
「あいつと作った演習問題を作るの手伝って用の問題演習、いらなかったな……」
理科室にある時計を見ると、もう7時40分。
「え、あっ、やばっ」
私は慌ただしく、理科室を後にした。