第3章 12月15日【あと9日】
「それで?あなたは何がしたいんです?」
読まれてたっ!
いやまあ、私が何がしたいのかなんとなく分かっているだろうとは思ってたけど。
二人っきりの理科室って、なんだか落ち着かない。
「えっと……その……バレてました?」
バレバレですね、と森下先生が頷く。
けど、すべきことは変わらない。
「昨日はすみませんでしたっ!!」
何が、とは聞かれなかった。
多分、彼も気づいている。今の謝罪が何を指していたのかくらい。
「昨日は少しムキになってしまって……それで、八つ当たりみたいに思ってもない事を口にしちゃったりして……」
苦手だな、と思ったのは事実。
だけど、言い過ぎてしまった。苦手なタイプだとしても、彼は憎めなかった。どうしても嫌いになれなかった。それはきっと、彼が私に似ているから。人に任せるのが苦手で、全部自分ひとりで片付けようとする所があまりにも似ていたから。
「え?思ってもない?」
「え?あ、はい」
意外な所を突かれ、思わず目を見開く。
「ってことは俺のこと、嫌いじゃない?まだ望みはある??」
「ん?あ、はい」
望み?
え、あ、もしかして……
その言葉の意味に気づくのが少しばかり遅かった。
「っ……!!よかったぁ……」
これに気づけないほど、私も鈍くはない。
さて、どうしたものか。