第8章 先生の言葉
「そろそろ、ハロウィンね」
「えぇ、日本にいた時から気になっていたの」
「そっか。
皇はハロウィン、初めてなのね」
皇はチェルシーと玄関ホールで喋っていた。
ホグワーツのありとあらゆる所が、オレンジ色と黒、ハロウィン一色だった。
「大人を脅して、お菓子を貰うのよね?」
「えぇ、そんなトコ。」
「ホグワーツでは何かするのかしら…」
チェルシーは肩を竦めた。
「お兄さんから聞いた事ないの?」
「えぇ…あまり、一緒に居ないから…」
「あっ!…皇っ、危ないっ!」
チェルシーが叫んだ。
玄関ホールの中央階段の手すりから、ジャック・オー・ランタンが滑り落ちてくる。
皇は考えずに、懐から杖を出して、呪文を唱えた。
「フリペンド!」
青い閃光とカボチャが衝突する。
カボチャは粉々に砕け散った。
「…ふぅ…」
カボチャが飛び散り、玄関ホールを汚す。
チェルシーはキッと中央階段の踊場を睨んだ。
皇も踊場を見た。
「…誰も居ないわ」
「いいえ」
チェルシーはまだ踊場を見ていた。
「確証はないけれど…
パーキンソンだと思うわ…。」
「巻き戻しの呪文を唱えてみましょうか。」
皇はもう一度杖を構えた。