第5章 五
安倍晴明達は荷台へと乗り込み
移動の準備を始める
僅かばかりの荷物を父のトランクへと積み込み
も安倍晴明の隣へと腰を落とす
その荷台の前を大股で豊久が歩いていく
「行かれるのか」
「放たれた矢のような御仁だ
あなたの目的はなんです?
信長殿のように世界を変えることですか?」
そんな豊久へと、安倍晴明は声をかける。
豊久はニヤリと口角を上げ
いつもの笑みを浮かべながらこちらを振り向く
「首級
寝てん覚めてん薩摩兵子は
突っ走る事しか頭ん無かぞ」
豊久の言葉に安倍晴明は、驚きの表情をみせる
「一緒に来っが」
お構いなく言葉を続ける豊久に
ブッチは面白ぇと笑い声をあげる
「我々は一度本部へと向かいます
途中で落としたスキピオや
他の漂流者や廃棄物の動きも探らねば
それに、さんの事もありますので」
「そうじゃった
難儀よの」
「オルミーヌをお連れください
彼女には札を渡してあります
あなた方のたすけとなるでしょう。
そしてなるべく早くさんも合流させますよ」
豊久は安倍晴明へとむきなおり
「を頼む」
と小さく頭を下げた
『豊久さん‥‥‥
からなず力になれる様になって帰ってきます!』
の言葉に、豊久が
ふわりと笑うとドタバタと信長達が
慌てた様に駆け寄ってきた
「まてまてまてぇい」
「お豊まてぇい」
はーはーと大きく息を見出し
信長は豊久の前へと立ち止まる
「ばかかお前は」
「己の意で来ん奴は来んてまのか」
物の役ば立たんど。そう返す豊久達に
ブッチは面白いものを見つけたかのように
ニヤリと笑う
「よーヒゲのおっさん」
「ぬ」
ブッチは、馬車の上から
信長へと銃を投げ渡す
「銃好きなんだろ?
一丁やるよ
ガドリングも置いていくどうせ弾切れだ
銃作るとか
弾作るとかすげーこと言ってたよな
完成したらくれよ
期待はしてないけどな」
そう言って、の腰をグッと引き寄せ
彼女の柔らかな髪へと顔を近づけ
ブッチは甘い香りを肺いっぱいに吸い込む
「銃とガドリングじゃ足りない位
良い女預からせてもらったしな」