第3章 参
廃墟の外れ
少し高く丘になっているところに
は1人青く雲の流れる空を見上げていた
「!ここに居たんだ」
『与一さん!
どうしたんですか?』
よいしょっと、と言いながら
の隣に腰を落とす
「ちょっと休憩」
ドサリと寝転ぶ与一の姿に
は小さな笑みを浮かべる
柔らかい風が吹くと
綺麗な黒髪が舞う。
はそっと指で掬うと
『綺麗』ポツリとそう呟いた。
その瞬間与一の切れ長の目が
パチリと開かれる
『あっ、ごめんなさい』
が、髪を掬っていた手を
戻そうとするとが思っている方向とは
逆の方へと強い力で引き寄せられ
覆いかぶさる様な形になってしまった
目の前には与一の整った顔がじっと
の瞳を覗き込む
『よ、与一さん?』
「の方が綺麗だよ」
与一の甘い言葉に、退こうと身体に
力を入れるが
腰に回された手によって阻まれ
前にも後ろにも動けない
「まだ、僕の事女だと思ってる?」
『?!』
きっと初めて会った時の
の言ったことを覚えているんだろう
今やっと、日本語を覚え漂流者とも話をできているが
あの時もう与一はエルフの言葉を覚えていたのだろう
の顔がカッと熱をもつ
『あの時は、あの‥ごめんなさい』
恥ずかしさのあまり視線をそらすと
逸らした先には与一の細い首筋から
華奢な鎖骨
それとは対照的に、女では逆らえない
腰に回された腕の力強さと
身体に感じる硬い筋肉の感触
が意識しているのが分かるのか
与一はニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべている。
『与一さん‥‥からかってます?』
「うん」
『うんって‥‥』
「っ!!!」
は与一から距離を取る為についていた
両手を離し
与一の胸へと倒れこむ
の顔は見えないがきっとむくれているであろう
声が聞こえる。
『潰れてしまえ』
そんな、可愛い反応を見せるに
彼女との距離が少し近づいた嬉しさに
与一はクスリと柔らかな笑みを零す