第18章 3回目
3ヶ月毎、お披露目を含めて計5回。
1年シンデレラの撮影がある。
その、3回目。
ワンデレラになってから、半年。
丁度、折り返し地点にきた所だ。
今回も、2回目と同じくゲストが何人かいるから、挨拶回りをしなければならない。
だけど、気が進まない。
何故かって言うと、ゲストの中に、あの女がいるから。
逃げる企画の時に、私を転ばせた、あのモデル。
挨拶しても無視されそうで、行く前からすでに気分が悪い。
楽屋に向かって歩く中で溜め息ばかり吐いていた。
扉の前に着いても、嫌なものは嫌だからノックも出来ず、迷う事数分。
諦めて扉を叩く。
「はい、どうぞ。」
あの女の声で入室の許可を貰った。
「…失礼します。」
扉を開ける前にまた盛大に溜め息を吐いて、部屋の中に入る。
「失礼します。本日はうちの大熊がお世話になりますので、ご挨拶させて頂いて宜しいでしょうか?」
縁下さんはピッタリと私の横についてくれていた。
私が嫌がっているのに態度で気付いてくれたんだろうな。
それだけで、安心する事が出来て笑顔を作れた。