第13章 ボディーガード
その後、社長に言われて黒尾さんと連絡先の交換をする。
遅い時間に出歩く時は連絡するように、とキツく言われた。
「ボディーガード以外でも依頼があれば、いつでもドーゾ。町の便利屋サンは、独り寝が淋しい夜のお相手も致しマス。」
「いえ、結構です。私、誰でもいい訳じゃないので。」
「マジメだな、りこちゃん。」
本日も、送ってくれるらしいので一緒に歩く。
無言はつまらないみたいで、ふざけた事ばかり言ってくるのに、何とか言い返すので精一杯だ。
見た目がアレだったから、セクハラだとかに縁がなくて、こういう場合の上手い言い回しが出来ない。
頭がパンクしそうになりながら、なんとかマンションが見える場所まで着く。
マンションの前には、見慣れない車が止まっていた。
それを見て、立ち止まる黒尾さん。
「俺は、ココで。」
まだ、マンションには着いていないのに1人で歩けという事らしい。
あの車、ストーカーとかだったらどうするんだろう。
「アレ、週刊誌の記者の車だぜ?2ショットとか撮られていーなら、部屋まで送るけど?」
私が思った事なんて分かりきっている顔で車を指差している。
確かに、そんな事があったら月島さんがまた来てしまいそうだし。
もし、そうなって、ドロドロの3角関係とか書かれても困る。
「有難う御座います。じゃあ、今日はここで。」
頭を下げて黒尾さんから離れると、マンションへ帰った。