第1章 first
【1年シンデレラ】
そんな番組が流行っていた。
内容は、本当にどこの事務所にも属していない、完全素人の女を、とある事務所が1年間だけ抱えて、全面バックアップをするもの。
流行り、というのは怖いもので。
かなりのゴリ押しみたいな状態であっても、話題性を狙った番組に映る事が出来る。
バラエティーが主ではあるけど、たまにCMやドラマの仕事までくる事があるというから驚きだ。
そこから、本当に芸能界デビューした人もいれば、1年で辞めて、有名税的な代償ばかり付きまとってしまう人もいる。
その、1年シンデレラになるには、ある条件があって…。
芸能界入り以外の目標がある事、だった。
それは、お金を稼ぎたい、だとか、モテたい、なんて単純なものでいい。
1年シンデレラ企画をしている事務所の社長に、楽しそうだ、と思わせられたら、それだけで。
容姿や性格は問わない。
だからこそ、1年シンデレラの倍率は物凄く高いものだった。
見た目、地味な眼鏡女。
特技、特になし。
そんな私なんかが、受かる筈もない。
どうせ、書類選考で落とされる。
でも、何もしないで諦めるのは嫌で応募だけはした。
そう思っていた私に来た通知は…。
まさかの書類選考通過。
オーディションを受けられる事になった。