第5章 試験に追われてる日こそ遊びたい
最寄り駅に着き荷物を抱えターミナルを歩いている時だった
「あれ?可愛い子いるじゃん?」
後から声が聞こえた
「あの制服あいりの学校じゃね?」
「仁、そろそろ黒髪女は飽きたか?」
「本当にそれ。最近黒髪女増えまくってるからよ」
「あの前歩いてる女はどうだ?茶髪のほうはちょうどあいりと身長同じくらいだし、もう一人はスタイルいいよな?今日の相手あいつらでよく「うるせぇ」」
後ろを向かなくても誰だか分かる
かなり危機的事態だ!
ヤバい!
「そこの夢女のおふたりさーん!今夜どう?王さまが抱いてくれるよ」
斗真が声を掛けてくる
「そんなガキより私を抱いて~!」
「仁さま~」
「優さーん」
「海斗く~ん」
「斗真く~ん!」
「陽希くん!可愛い!」
周りの女子たちから黄色い声があがりこっちに罵声が飛んで来る
幸いにも距離が少し離れているためこのまま聞こえないふりをすればどうにかなりそうだ
『夏海!逃げよう』
「そうね」
夏海の送迎用の車が止まっているところまで早歩き
一瞬振り返り仁と目が合った気がしたが気のせいだろう
車に乗り込みふたりで息を整える
「…あいり大丈夫?」
『なん…とか…』
「それにしても運が良いのか悪いのか…災難だったわね」
フフッといつものようにふたりで笑い合う
そしてそれぞれ帰路についた