第16章 温厚な人ほど怒ると怖い
私のお父様、お母様からすでに到着していると連絡があったわ
「橘様ですね?お待ちしておりました」
女将や従業員が並んで出迎えられる
「挨拶はいいわ。早く部屋に通しなさい」
橘家は桜宮の傘下
遅刻なんて体面が良くないわ
まぁ、そんなこと気にするのも今日で終わり
明日からは桜宮になるの、隣には素敵なあのお方
「入るわよ」
スー
襖を開けると座っている両親
「あら、遅いじゃない」
「愛、その着物やっぱり似合うな。流石私の可愛い娘だ。桜宮家も絶対お前を気に入るはずだ」
「当たり前ですわ」
お父様には仁さんにまとわりつくあの女のことを報告済み
やっぱり私の可愛さはあの女と比べものにならないのね
その後、仁さんと仁さんのご両親が部屋に入り、言葉を二言三言交わしその場はお開きになった。
仁さんはずっと黙って私を見ていらっしゃったわ。
意外と彼は奥手なのかしら?
目は合うのに喋らないの。
まぁ、いいわ。それなら私が女性というものを1から教えてさしあげますわね。