第2章 とりあえず逃げたいです
和馬はパソコンを弄っている優の正面の椅子に座る
私は仁のそばへ
グイッ
『きゃっ!』
「じっとしてろ」
腕が伸びてきて見事に捕まり正面から抱きしめられた
『仁…離して』
ドキドキで心臓が破裂しそうだ
彼の魅惑的な色気に香水とタバコの匂い
愛しさが増してしまう
「…」
何も言わない彼
そして体制を変えられ仁の長い足の間に座り後ろから腕を腰に回され抱きしめられる
「で~あいりはどうして逃げたのかな?」
金髪の男海斗(かいと)の緩い口調と裏腹に目を細め無言の圧力
『…ごめん』
「仁の一言でどれだけの人が動いたと思う?賢いあいりなら分かるよね~?」
『‥‥』
「理由くらい言ってから消えて欲しかったな~」
『ごめんなさい』
「‥で理由は?」
『‥‥言えない』
静かになってしまった室内
気まずい空気
でもそんなの関係なしの王さまがいて