第1章 どうしてこうなった!?
「おい、和馬。その手を離せ」
「あー、仁ごめんねー繋いでるの忘れてた」
パッと私の手首を離す
この空間も“相変わらず何も変わらない”
所謂応接室のような部屋
これからティータイムが始まりそうな高級感溢れる空間
それに負けないくらい揃えられた家具
フカフカの絨毯
部屋の中心には低めの四角形のテーブルがある
テーブルに合わせた3人掛けのソファーが向かい合って置かれている
その片方にスマホを弄る金髪と紺色の髪の男
「海斗、この女の子の番号持ってる?やろうか?」
「いらねーよ斗真のお古なんか」
「きゃー冷たい海斗くん」
「やめろよ。お前と穴兄弟はごめんだ」
また2人が座っているソファーの後ろにはダイニングテーブルがある
そこで椅子に座りパソコンを弄る暗めな茶髪の男
「和馬にあいり…そんなところに立ってないで座ってください」
何故か部屋の隅にハンモックがありそこで眠るハニーブラウン色の髪の男
「…zzz」
そして2つの向かい合う3人掛けのソファーとコの字になるように置いてある1人掛けソファーに座る漆黒の髪の男
「あいり‥」
漆黒の男こそが“X”の王さま
「‥来いよ」
彼の瞳に捕らえられる
王さまの命令は絶対
逆らうやつは殺されるなんて噂まである
「あいり‥」
もう一度名前を呼ばれ無意識に動き出す自分の身体
逃げたはずなのにまた戻ってきてしまった
おかしい。どうしてこうなった…