第11章 上書きって意味知ってるのかしら?
「あの桜宮の息子と最近仲が良いそうだな?」
『……はい。』
「それが理由か?」
『私は…自分の好きなひとと付き合い同じ時間を共有し彼と共に生きたいです。』
「…恋愛など余計だ。お前の親がいい例だ。家を捨ててあんな女と駆け落ちするから圭介は死んだんだ…」
『母を侮辱しないでください!』
「お前はなにも分かっとらん!唯一の跡継ぎが失踪し、挙げ句死んだ。この家は今や傘下に呑み込まれる寸前だ。この家を守ってきた私の無念が分かるか?今や桜宮がトップなんて言われているが昔は違う。この“神崎”が上だった。神崎のバックに新しい組を付ける。その若頭は頭がキレるやつだ。そいつに後を継いでもらいお前はそいつの嫁になる。表と裏が強くなりまた“神崎”の時代を創る。」
『私は仁と…一緒になりたいんです』
「桜宮はダメだ。あそことは常に張り合ってきた。今更一緒にはなれん!ダメと言ったらダメだ!それに一度了承したのはお前だろ?」
『確かに…了承しました。しかし、歩むべき道が見つかりました!彼は逃げても絶対に私を離さない。それ以上に愛を教えてくれた!……なら私だって彼を愛したい!…私はあなたの欲望のための道具ではありません!』
「ふざけおって!お前は頭を冷やし、ここに留まれ!」
『…何を?』
「明日見合いを行う」
『はっ!?』
「明日、お前の旦那を連れてくる。おい、いるだろう?」
襖が開き黒のスーツを着た男のひとが入ってきた
「はい、ご用件は?」
「こいつを見張れ…部屋から出すな」
「承知いたしました…ではあいり様、あなたの部屋に案内します。」
『嫌です!』
「あいり賢くなれ。ワシの一言でどんな企業だって潰すことができる。飯島か?相川か?組の力を借りれば桜宮だって潰せる。」
『…っ!』