第1章 日常(楽紡)
ーーそしていつものマネージャー業をこなしていく。
これも皆に協力をしてもらい、夕方に切り上げる。
美来を事務所に連れて行く事も多々あるが、今日は楽が早く帰ってくるので、早々に仕事を切り上げる。
車をマンションに置いて、美来を迎えに行き、買い物をして帰宅。
美来は最近お風呂掃除にハマっていて、帰宅するとすぐにお風呂を洗ってくれる。
紡はその間、夕飯であるお蕎麦を少し豪華にするために、天ぷらを揚げていた。
もちろんお蕎麦は家に常備されているので、困る事はない。
ただ、楽との時間が中々合わないため、家族全員でお蕎麦を食べることも、これもまた珍しい事。
そんな中、楽から『これから帰る』との連絡を貰うと、それを美来に伝える。
「美来、パパもうすぐ帰ってくるって。迎えてあげてね?」
「はぁい!」
思ったより早く帰宅できる事を知った美来は、嬉しそうに元気よく返事をした。
美来と一緒に夕飯をテーブルに並べていると、ドアが開く音。
それを聞いた美来は玄関へ駆けて行く。
紡も少し遅れて玄関へ行くと、そこには美来を片手に抱き上げている、楽の姿。
何かを手に持っていてそれを少し上にあげる。
「ただいま。ケーキ買ってきた」
「…!ありがとう、楽っ」
甘いものが大好きな紡は、思わず楽に抱き着く。
ケーキが崩れないように抱き返す楽は、満足そうに紡と美来をまとめて抱き返す。
我に返った紡は、照れたような笑みを浮かべながら、楽からそっと離れる。
ケーキの箱を受け取れば、ふたりを置いてキッチンの冷蔵庫にそれをしまうと、ついでに火照った顔を冷やす。
そんな様子を楽と美来に見られ、くすくす笑われていたことなんて、紡は知らない。
朝と同じ席に座り、みんなで夕食。
楽は思った以上に喜んでくれたみたいで、嬉しそうにお蕎麦を食べている。
そんな様子を見て、私と未来は目を合わせて笑みを浮かべる。
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